[最初は噂を聞いて確かめに行くだけだった。
けれど、徐々に出版社からの情報を聞いたりもするようになって。
その度に直接出向き、話を聞きに行って子供に会いに行った。
屋敷へ連れ帰っても警戒が解けぬまま、結局出ていってしまった子や。
そも、一緒についてきてくれなかった子も居たけれど。
それでも、生活を共にしてくれる子はゆっくりと増えていった。
そんな中、最初に誰かからお母さん、と呼ばれるようになって。
執事はそれを聞いて、そんな言い方、と眉を顰めた。
けれど、そう呼ぶことでこの子が落ち着けるなら、それで良いと言えば渋々認めてくれた。
そして気がつけば、この家にいる子供達皆から呼ばれるようになって。
この子たちのお母さんに、なっていった。]