―それから―
[奥深く、深い闇に包まれたそこは星明りも届かず、ただわずかに漏れる月明かりのみに照らされる世界。
闇の領域とも言える場所、その場所にはもうひとつの顔がある。
木漏れ日の優しい光、小鳥の囀る声、柔らかな空気と心安らぐ香り。
そこは妖精の住まう地に繋がっていると言われている。
その森には守人たる小人がいると言われている。
自分の身が今あるのはその場所で、懐かしい、自らの故郷とも違う、もっと心地よい感覚を起こさせる場所。
何よりも好きな場所、大切な場所、そこにはその人がいるから]
くー………
[森の木の一つ、その根に横たわり静かな眠り、かつてそこに初めて来たときと同じように。
ただ一つ違うのは、その眠りは安らかに、その包まれる雰囲気と呼び起こされる記憶から]