人狼物語 ─幻夢─

64 滄に揺らめく銀鏡


商人 ゲルダ

[夜の帳の中、閉ざされた場所で何があったのか、知るのは互いだけ――。


時間も、場所も、死者となった今ではあまり関係がない。
生者とはまた違った感覚に、くちびるが柔らかく弧を描いた。

隣に眠るエルゼリートを見て、目を細める。
少し離れようと体を起こそうとしたけれど、鈍い腰の痛みを覚えて、躊躇した。
それに自分の背にまわる腕に力がこもったような気がして、ほんの少し身じろいだだけで、結局は離れることを諦める。

眠る彼は、肌もきれいだし睫も長いし、少女めいた風貌だ。幼い頃からそういうところは変わらない。
それがまさか、しかも死んでから、こんな関係になろうとは――]

(1431) 2011/01/19(Wed) 16:28:13

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