[夏休みも半ばを過ぎたと或る日。
青年は冷房の掛かった自宅のリビングで、携帯を弄っていた。
傍らには、先程まで食べていたカキ氷の器が置いたまま。
――ちなみに従妹は現在寮に帰っているものだから、珍しく静か。]
――…、さて。
[面倒だな、と小さく呟く。
――しかしこのままで居る訳にもいかないのは十二分に判っていて。
暫しの思案の後。
ぴ、と小さな電子音を立てながら携帯を操作すると
「友人」のグループ項目から、友人のの名前を拾い上げた。
(ちなみに電話帳はグループ検索派。)
ディスプレイに浮かび上がる「我妻 悠悟」の文字。
しかし、プル、と僅かに呼び出し音が鳴ったのと同時に
相手が受話を取る前に、プチリと通話終了。]
[=通話代は、相手持ち。]