[その青年の訪れは、一連の騒動に一応の決着がついた後の事。
すらりとした白猫を肩に乗せ、長めに伸ばして一本にまとめた金の髪を海からの風に揺らしつつ、最初に目指したのは自衛団の詰め所]
「……ええ、連絡をいただきまして。
彼の持っていた研究に関わるものは、全て私が引き取ります」
[淡々と告げる彼は、歴史研究家を志していた青年と同じ大学に、やはり研究生として在籍しており。
同じテーマを追求する、言わば研究仲間だった]
「……はい、確かに。
それでは、私はこれで。今、持っていけない分の書籍類は、後ほど改めて引き取りに伺います。
……で、彼の墓はどこに?」
[一先ず、自衛団が預かっていたもの──元・宿屋に持ち込んでいた鞄とその中身を引き取ると、青年は研究仲間のねむる場所を問い。
答えを得るとそちらへ──教会へ向けて、歩き出した]