[訪れたのは、墓地の一角。
自衛団長の孫、という事もあってか、葬られたのは祖父や両親と同じ場所だった。
訪れた青年は、そこにぱさり、と花束を置いてしばし瞑目する]
「……まったく。
静養しろ、とは言ったが、永眠しろ、とは言ってなかったはずだぞ、私は。
しかも、ミーレを置き去りにするとは。
マグノリアも怒っているとわかっているのか」
[やがて、目を開けた青年は、一頻り文句を言い。
それから、手にしたもの──楽譜を見て、ため息をつく]
「挙句、これも渡そうと思っていた相手に渡しそびれたというのだから。
本当に、処置なしだな」
[呆れたように言いながら、それでも、碧の瞳はどこか寂しげで。
その様子に、肩の上の白猫が、なぁ、と鳴いた]