……なんて、楽にはいかないようだが。[皮肉げな笑みを浮かべて青年を見据え。ダラリと両腕を低く垂らすと、打ちかかる前よりも低い姿勢に。ブン、と霞むように輪郭がブレて、一瞬後、同じ場所には黒狼の姿があった]『だが、やる』[この姿のままで言葉を発するのは難しい。同胞に向ける声で宣言しながら、青年に向かって駆け出した。直前で右側方へと軌道を変えて回り込むように動き。今度は蹴られるよりも前に、そのふくらはぎへ牙を立てようとした]