[人差し指で眼鏡の中央を押し上げながら、踵と床が鳴らす音はテンポを上げる。 空の下、広く大きな祭壇の中央にゴロリと横になった翼の生えた巨大な翠の蛇は、チロリと先の割れた舌を見せて全身を大きくうねらせる。] 「まぁな。」[ほんの僅かに笑みを含むような声に眼鏡の奥の瞳を一度伏せ、紅い髪の束を揺らしてゆっくりと半身を同じようにうねらせて近く寄る。 目的地である雷竜王は、その縦長に細い瞳孔を中央に携えた瞳を、横長に細くしたした。]