この度の事、何かなさったのですか?
裁きの権限を?
[両手で抱える程もある大きさの瞳を見上げ、陽の光に目を細める教育係に、大きな蛇は鱗に覆われた口角をいっぱいに引き上げる。
そのまま高い位置から遠くを見る王が口を噤めば彼女の言葉は空に消え。
何時終えるかもわからない静寂、留まる空気。]
「面倒だった訳ではないぞ?」
[裁きを預かる蛇は、各々の王に捌を預けたと。
全て言葉にせずとも、同じ空の下赤い髪の少女の形をした老竜は知った。
サボりましたね、と、口の中で囁いて、同時、終わりましたね、と。
さわりと吹いた風。
揺れる紅髪の中、微笑みの形をとっていた。]