[真っ直ぐな瞳で問われ、困ったように微笑みながらどう答えようと考えて。
いつのまにか足元に来ていた白猫に気付き、それを抱き上げ、ふと、浮かんだ答えを口にした。]
─…王子様が、いなくなっちゃったから、かしら。
「おうじさま?」
そう、王子様。
[微笑んで頷くと、怪訝な顔で首を傾げる子の瞳がきょとと瞬いた。]
「もう、会えないの?」
さぁ…どうなのかしら。
会えないかもしれないし、会えるかもしれないわね。
「おかあさんから、会いにはいかないの?」
…そうね、今はまだ。
会いにいったら、怒られてしまいそうだから。