『それに「コレ」が使えるなんて、本には載ってなかったケドなァ』
[宣言>>1475を聞き、続く言葉をそちらで発したのは故意だったのかどうか。
駆け寄ってくる獣を、先と同じように蹴り飛ばそうとしたが。]
あッ、……つ!
[直前で軌道を変えた獣の位置を見失い、一拍後に牙が突き刺さる。
激痛に顔を顰めながら右腕を振れば、先程の傷口から飛び散った血が、幾つかの桜の花片へと変化した。
風に乗った花はその視界を奪おうと動き。]
……面倒くせェ、なッ!
[声に初めて苛立ちが滲み。
少しでも牙の力が緩めば、食いつかれた足を振り、狼を引き剥がそうとした。]