[忘れないうちに、集会場での出来事を、報告書として提出しろと厳命される。正直これが一番苦労したかもしれない。何せ、書けないことが多すぎる。
イレーネの事はもちろん書けない。ユリアンとフォルカーの傷についても、適当な理由をでっちあげた方がよい気がした。
嘘がつけない性格(もとい、ついてもすぐばれる)の為、大半は当時の様子を詳しく聞くという名目でハインリヒの元へと出向いては、彼の知恵を借りた。エーリッヒについてだけは、大体そのまま、あるいはやや悪く書いた。恨みの為というよりは、イレーネの事を隠すために。
ひぃひぃ言いながら文字を書く合間をぬって、ウェンデルにエーリッヒの墓の場所を教えておいた。
そうこうしていたら結局、報告書の作成には、3,4日はかかった。]