……お爺さま、僕は……後悔は、していません。
あの石を壊したことも、僕の決意を父に告げたことも。
決められたことに従うだけじゃ、力に頼るだけじゃ、駄目だって思ったから。
僕は、自らの足で、選んだ道を歩み、自らの手で、大切なものを護りたい。
それすらしていないのに、後悔なんて、……早すぎるから。
[静かに、しかしはきと口にする少年に、祖父は大きく頷いた。
少年の決意を、否定することなどしなかった。
ただ、一つだけ約束だと、彼は言う。
まだ御前達は幼いのだから、生きるために学び、強くなり、二人で手と手と取って行けるようになるまでは、この村にいなさい。
そして、父にも母にも、自分の気持ちを伝えなさい。
それまで、少年にとっても少女にとっても、決して、悪いようにはしないから――と。]