[乱雑に無軌道に壁と壁とを飛び交いながらも視線はナターシャから外さない。笑っている少年はその陽気さとは裏腹に陰湿に鉄くずの檻の中にいる獲物の隙をうかがう]
あはっ…ははっ
[鉄環手を投げつけたそれを移動の最中に難なくかわしつつ、その動作から生まれた隙であり、絶望的な死角ができる位置へと瞬時に飛び交い。
風を切りながら襲撃者は強襲し、左肩を確かに捉えたことに歓喜する。
もしこれが、心臓を抜いていても同様に歓喜していたのだろう。とはいえそれは...には知らぬ仮定のこと]
……??……
[一撃与えるという目的も達したため満足していたところにかかった静止する声には素直に従い爪を引っ込めたと同時に鉄くずの壁は何事もなかったように沈んでいった]