[それから少年は、祖父の言いつけを、よく、守った。
今まで従うばかりだった父親に進言することも多くなった。
鉱脈が見つかったと聞いても渋る彼に村の発展の可能性を口にし、護り手の秘密を暴かれるかもしれないと反論を受ければ、その力について知るべきだと言い返した。伝わっていた「御伽噺」に疑問を抱いていたのも、あったが]
……僕、あの石の中に、エーファ――
片割れがいないことなんて、本当は、知ってた。
でも、あの石には、確かに、力が秘められていた。
まるで、呪いのようでもあったけれど。
僕は村の発展を望むし、あの石の秘密を解き明かしたい。
だから、御願いします。
[あの騒動を生き残った鉱物学者に、少年は、そう語った。
我が子と学者と、さらには元村長たる父親の三人に説き伏せられれば、アルノルトも頷かざるを得なかった。
実際、村が繁栄するか否かは、そのときには、未来の話であったけれど]