[言い聞かせるように、言葉を紡いで、玄関の前に立つ。もう一度、深呼吸をして。呼び鈴の紐を、引いた。銀の鈴が、涼やかな音を立てる。ややあって、扉越しに感じる、人の気配。開いた扉の向こうには、薄紫の長衣に身を包んだ男性が一人]「……おや?」ええ、と。[訝るような声に、引き被っていたマントのフードを上げる。ぴこ、となった獣耳に、後見人の口元に笑みが掠めた]なんていうか、また、その……こういう、事になっちゃって。ええと……。