─後日/葬儀─
[夫の遺体を一旦自宅へと運んでもらったのは、暫く二人だけにさせて欲しい、という嘘偽ない思いがあったから。
身重の女から番をすぐに引き離してしまった罪悪感からか、希望は比較的すんなりと受け入れられた。ミハエルやゲルダらの口添えもあったからだろうが。
先に埋められてゆく人らを、少し離れた場所から見送ったのは微か胸に痛みを覚えていたから。
他の人間に倣い、一輪ずつ花を墓に添えてゆくも、痛みが取れる事は無い。
そこに謝罪の言葉はないが、失った事への痛みが混ざり、針のような小さな欠片が胸に残っていった。
同胞がミハエルの家の庭に埋められる事になったのには、少しだけ驚いたような顔を向け。
だが捨てられ、奪われる事は無い事を知れば、少しだけ泣いた。
涙は枯れないものね、と頭の端が呟いた。]