[そっと骸の上に乗り、体を重ね頬を摺り寄せる。
細やかな肌は温もりがないが、まだ生きていた時のまま。
明日にはもう手放さなくてはならない人と、最後にそんな触れ合いをした]
ゼル。私の父さんとの約束、覚えてる?
命を差し出すのは最後に……って
プロポーズしてくれた時に、してくれた約束。
……あれ、凄く嬉しかったんだ。
ゼルはずっと傍に居てくれるんだって。
…………思ったから。
[結局父とは違い、夫のほうが先に逝ってしまったが。
その際まで、自分で死ぬ事も、食われる選択肢も選ばなかった
父との約束は最後まで守られたんだ、と思っている。]