[巾着に目を落とす。足元注意。
一歩、二歩、三歩、前に進んで、白い線が見える。やっぱり歩くのは痛いなぁと、足の感覚を確かめて、前を向く。
―― 最初、なんだかわからなかった。
足が止まってしまって、後ろの人がちょっと迷惑そうにぶつかっていく。
それでも、ちょっとよろけるだけで、転びはしないし、見る場所はただひとつ。
距離にしてはほんのちょっと。
間違えるわけはない。でも、いるわけもない。
動けなくなって、手がなんだかマトモに動かなくて、ぽとっと巾着が落ちてしまった。
――どうして、りきっちゃんがいるんだろう?]