人狼物語 ─幻夢─

64 滄に揺らめく銀鏡


研究生 エーリッヒ

……じーちゃ……ん?

「そう、呼ばれるのも、久しぶりじゃな」

……呼ばれなくなったのは、誰のせいだよ。

[向けられた言葉に、返すのは憎まれ口。翠は伏せていたから、その時の団長の表情──どこか困ったような、でも、穏やかなそれは見えてはいない。
そして、話したい事が、言いたい事があるはずなのに、それも言葉にできなくて。
手のぬくもりを感じながら立ち尽くしていると、乗せられた手が撫でるように動き、それから]

「……済まんかった、な」

[唐突に告げられるのは、短い謝罪。
え、と言いつつ顔を上げれば、目に入るのは穏やかな、笑みで。
翠を数度、瞬いた]

(1567) 2011/01/19(Wed) 22:22:16

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