[避けずに返してくる動きに、ふ、と、笑みが掠める。
状況は緊迫しているのに、楽しくなるのは、タチがいいのか悪いのか──そんな事を考えていたのは、僅かな刹那]
……っ!
[手元を狙う突き上げ。
避ける事は元より考えていなかったが、さすがに直撃は外そう、と思ったのが裏目に出たか、僅か、太刀筋が乱れた]
っと、やべっ……。
[声を上げた時には、遅く。
直撃こそ避けられたものの、剣の切っ先は右の腕を滑り、肘近くまで紅を散らして。
痛みと衝撃で、右手の力が抜ける。
左一本では自身のつけた降下の勢いも御しきれず、刃はただ、空を斬り]
……っとお!
[ついでに、自分も見事に落ちた]