─月日は流れ─
[切らずに伸ばした髪は腰の辺りまで伸びていて。長い髪がばらけないように背中の真ん中辺りを蒼いリボンで結んだ。つばの広い帽子を被り、服は少し裾直しをした一品物のワンピース。身に付けた物は全て、あの日分けて貰った物。必要な荷物と、ホワイトソックスで額に同色の月を抱く一匹の黒猫を傍らに、イレーネは村の入り口で佇んでいた]
───フォル。
[名を呼ばれて、満面の微笑みを向ける。伸ばされた大きな手に自分の手を重ねた。変わらぬ笑みを見上げてから、彼と共に未知の世界へと一歩踏み出す。彼との約束、皆との約束を胸に*抱いて*]