見えざる檻と、言い換えてもいい。
[「場」の説明を詳しくする気には到底なれなかった。
それはそうか、との呟きも、転変の歪みの中に消え]
『そうだ。人狼と、呼ばれるもの。
月下の方が楽ではあるが、不可能、ではない』
[駆け寄る最中、意識を会話にも傾け囁いた。
思考と行動を乖離させる術は、過去の苦い経験で身に着けたもの。
湧き上がる嫌悪感だけそのまま青年に向かってしまう]
『同胞のみに聞こえるものと。私はそう理解してたが』
[疑問とは関係なく身体の向きを変え、動きの止まった右足に喰らいつく。口の中に広がった味は、紅月下の時のよには甘くなく。
風に乗り流れてきた花弁>>1516には視界を塞がれるだけでなく、意識の集中まで乱される。
顎の力が緩んだ隙に動いた足の動きと合わせられず、大きく振り払われて宙を舞う]