―ユリアン家―
えええ言ってたっけ?
何か、違う事言ってたような…。
[とかぷらーんとなったまま考え込む。
そのまま下ではカヤがユリアンにお菓子を振舞われていた。
始めは少し、人見知りよろしく警戒していたが。
口にした菓子にふんわり、嬉しそうに微笑む所はまだ子供だと思う。
ふとカヤがユリアンの服の、その前の方に目を止めた。]
「ボタン、間違ってる。」
[かけ間違えられたボタンにおずと手を伸ばすと、一生懸命正しい位置に戻し始めた。
それは少女にとっては、自分が兄にしてもらうのと同じ日常的な行為だったかもしれない。]
「自分で出来ない時は、だれかにしてもらうといいの。」
[他意なくそうはにかんだ妹に、あんまり近づいたらだめだぞと兄らしい注意をしておいた。]