よくわかんねェ。
[結局「場」についてはっきりと理解することは無く。
然程興味もなかったか、それきり追及することも無かった]
『ふゥん。
でもオレが喋ってたのは……“人狼”じゃなかったし、なァ。』
[以前を思い返す刹那。
ほんの一瞬掠めた記憶は、はっきりと残りはしなかったが、かれの内に嫌な感覚だけは残して行く。
お蔭か振り払う足にも力が籠り、狼は宙を舞う。>>1586]
あァ、ッたく。いッてェ。
……嫌だなァ、こう言うの。
[呟きは獣には届くか否か、小さなもの。
食らいつかれた足から滴る赤はまた幾つかの花片に変わり、今度は風もないのに獣へと向かっていく。
その身を掠めたならば、刃のように切りつけることだろう。]