[扉に飾ってある
『工房:Horai』
と書かれた瑠璃のプレートは、外して家の中に入れた。
もう永遠の平和や愛を願う主もおらず、明日から女神も欠けてしまうのだから。
夫の作ったプレートをなぞると、これをかけた日の事を思い出して目を伏せた。
『―――直球な告白だな』
『遠い異国の蓬莱(ほうらい)って言葉にも重ねて――』
未来がひたすら明るいだけだった頃の幻は、
風のように現れ、すり抜けて消えていった。
客間のテーブルの上には、納める事のなかった銀の職台が置いてある。
それの隣に青板を置いて、若い夫婦の工房は閉じられた。]