─遠い、遠い未来─
「おばあちゃーん、こっちこっち、ほら早くー!」
はいはい、今行くわ。
[夏の暑さを物ともせず駆けていった子が、こちらに手を振って呼びかけてくれる。
それをゆったりとした足取りで追いかける。
まぶしい日差しの中を、白い日傘を差して歩く。
いつかのように、手袋も帽子も身につけることは少なくなった。
肌を日にさらすことに怯えることは、なくなった。
それは、あの日送られてきた、包みのお陰。
同封されていた手紙も、今も大切にしまってある。
たまに読み返して、今もお元気かしら、なんて。
有り得ないことを思って、でも、今でも変わらぬ笑顔で誰かを元気にされているんじゃないか、と。
そんなことを思いながら、微笑んだ。**]