…、……―――。[生前、妻であった人の傍に漂いながら、紅は“3”を見る。イレーネという女、アーベルという男、漆黒の毛並みの狼(リヒト)。幼馴染という絆で結ばれた、“3”という数。そこに、もう1つが加わることは―――ない。そう謂うと、彼らは否定するのだろうか。けれど、見詰める紅の主には、ずっと密やかに胸裏あった想い。それは、他の2人に比べるとアーベルに対して、少し距離があったことにも窺い知ることが出来る。]