─ 何時かの夢 ─
─…ゲルダ、ベッティ。
[騒ぎが収まり、それぞれが日常を取り戻しかけた頃。
夜、眠る二人にそっと語りかけた声。
二人は起きたろうか、もしかしたら深く眠っていて目を覚まさなかったかもしれない。
もしも目を開ければ命を喪くしたはずの幼馴染の姿を見ることができたろう。
生きていた頃と変わらぬ瞳で二人を見つめる姿を。]
二人とも。哀しませて、ごめんね。
辛い想いをしている時に、慰めることもできなくて、ごめんね。
─……ブリジットも、まもれなくて、ごめんね。
[緩く二人の髪を撫でながら、申し訳なさそうに呟いて。
自分より先に命を失った幼馴染は傍にいたろうか。
傍にいたのなら、彼女にも、自分の命が盾になれなかったことを謝って。
眉を下げたまま、でも、と微笑みを浮かべ小さく続けた。]
二人とも、生きててくれて、ありがとう。