─ 墓地 ─
―――…有難う
[欲しかった言葉は自分だけでは得られないもの。
少年に諭されながら娘は震える声色で感謝を口にした。
抱擁を交わし伝う温かさが、声が、鼓動が嬉しくて。]
あの時は手、解いてしまったね
如何しても―――手を伸ばしたかったんだ
エドガーの時には出来なかったから
[結局は、本当の意味で届く事はなかったけれど。
兄と慕った狼の青年が息を引き取る前、向けられた言葉は
常と変らぬ、此方を気遣うもので。
ささやかな救いは、今もこの耳朶が覚えている。]
大丈夫…絶対離さないから
もう過去に囚われたまま、見えてるものを見失ったりはしないよ