人狼物語 ─幻夢─

64 滄に揺らめく銀鏡


下男 アーベル

― 9年前 ―
[髭の立派な男と、自分の手を引いていた男が何やら話しこんでいた。
時折髭の男の視線を感じる。値踏み―後で聞けば、仕事が出来るかしっかり観察していたとの弁―するよな視線を見れば、愛想良くにこりと笑ってみせた。笑むことで人の壁を少し崩せる事は、旅の最中で学んでいた。
ふむ、とひとつ、髭が頷く。
髭が黒衣の男に何事か返した後、男は一瞥もせずにそこから離れていく。
呆気ないそれが別れだった。
そして自分はその大きな家の、下働きとして暮らすことになる。

仕事を始める前に、この館の主と引き会わされた。
どんな主人かと思っていたら、思った以上に幼い子供で驚いたのが強い思い出。]

こんにちは、お嬢様。

[最初に会った時は、そんな丁寧な口を聞いていた。
笑みは作り物だったから少し硬かったかもしれないが、お嬢様は構わずよく呼びつけた。

幼さが弟に似ていて。暖かさが姉に似ていて。

初めて、あの銀の狼以外に、大切だと思えるものが出来た。
そうして鶏が卵を作るように、こころはゆっくりと膜に覆われ殻を作り、内なる狂気を包み込んで*今に至る*]

(1637) 2011/01/19(Wed) 23:14:34

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