[そして。娘は淡い笑みを浮かべ少年の肩に埋めていた貌を離す。
そのうち、抱擁は解かれて。]
―――…”僕”を返さなくちゃね
[ぽつ、と零した言の葉。
少年から弟の墓石へと視線が移り行き。]
エドガーを、還す
今まで、僕の中に閉じ込めててごめん
―――…でももう、大丈夫だから
…取ってしまったもの、受け取って欲しいんだ
[弟の命が喪われたあの時から娘は少年の様な言葉を使い、
心の半分を埋めようとしていた。
罪を、忘れないこと。
そのためだけに演じ続けてきた、自分。
片割れを想いながら、再び弟の墓と娘は向き合った。]