ッ、くそッ……[懐に飛び込む力は予想していたよりも強くて、押し返すには少し足らなかった。それでも反撃の機会は幾らでもあったはずで、実際解いた腕は獣の身体を掴もうと動きかけ。不意に目を見開き、動きが止まる。ゆっくりと傾いて行く、その光景には覚えがあった為に。] あ、……[呆けたような声が洩れ、抵抗も無く地面に倒れる。同時、噎せ返る程だった花の香りも霧散して行った。]