……兄貴……そこ、羨ましがるとこかい。
[空白を経て、零れたのは小さな呟き]
俺からすれば……なんぼか。
そっちの方が。
[自分の触れられぬ領域の繋がりを、幼馴染たちと持てていた彼の方が羨ましかったと。
口にしないのは、その繋がりを拒んだのも自分自身だから。
望まれて。自身も、全く望まなかったとは、言えない。
けれど]
……ま。
今更、か。
[もう一つの「大切」を、裏切る事はできなかったから。
受け入れる事はできなかった。
だから──選ばなかった事は、悔いてはいない。
後ろ向きに、ただ悔いる事はしないと。
それは、裏通りで生きると決めた日に、誓った事だから]