[一瞬見えた顔に、からりと笑い告げた言葉に拳が飛んできた。
尤も少女の拳など受けるのは容易く、大きな手の平でそれを包み込んだ。]
ははははは。
俺にはエーファよりお前の方が可愛く見えるけどネ?
[それは懐く度合いのような贔屓目が加味された結果ではあるが、嘘ではなかった。
しがみついてでもと言われれば、満足気に微笑んだ。
楽な旅にはならないだろう。
何故なら因子持ちのフォルカーを旅に連れまわすことで、場の形成を成し易いようにするのだから。
かつて自分がそう望まれたように。
ああ、ヴィリーから貰った丸薬を飲ませてもいいなと、自分を慕う者の胸中しらずにほくそえんで。]
さ、行こうかネ。
ほら、ちゃんとついておいでね。
[そう言って、フォルカーの拳を握った手を、しっかと開かせ、繋いで引いて歩いていく。]