―金の映す世界―
[頬を寄せる同胞>>872の様は何時かのじゃれあいを思わせる。
人狼の血を持つ者をリヒトは彼女しか知らない。
両親の存在も同じ姿の兄がいることもリヒトは知らなかった]
『今だけは許せ、ヴァイス。
彼女をグラォと呼ぶ事を。
――…どうせ、届かねぇンだ。良いだろ』
[死してから聞いた聲の主に向けて小さく紡いだ。
同胞が何をしようとしているのか直ぐに知れたから――。
漆黒を喰らう同胞>>874から小さな呻きが聞こえる]
『――…グラォ!』
[慌てるのは傍に銀があったからか
彼女の苦しげな声が心を締め付けるからか]