―金の映す世界―[漆黒の奥に眠る赤い果実が同胞の中へと取り込まれる。危険を承知でなす彼女に小さく吐息を零し漆黒の獣の、金の眸は彼女だけを映す。赤の意識に響く聲に困ったようなそんな空気を滲ませて]『俺もグラォの心臓は喰いたくねぇな。 グラォ……、グラォ……』[同胞の胃に落ちた命の源は彼女の糧となり彼女の育む子の一部となれるだろうか。嫁にと望んだ彼女の子の為となれるなら悪くは無い]『――…ありがとよ、グラォ』[漆黒の獣はグルと咽喉を鳴らして金の眸を細めた**]