人狼物語 ─幻夢─

64 滄に揺らめく銀鏡


小説家 ブリジット

[のんびりと話しながら海を見ていたら、不意に後ろからかけられた声にあら、と瞬いた。]

あぁ、いいのよ。
私が連れてきてって言ったんだから。

ほら、ヨアヒムはお母さんと戻りなさい。
おばあちゃんは、もう少しここで日向ぼっこしていくから。

[灯台の壁に寄りかかるように腰掛けて、岬から見える海を眺める。

あの日、この場所で大切なものを失った。
けれど、あの場に巻き込まれなければ、自分はこうしてはいなかったろう。

そう考えれば、あの時のことすらも、今は、懐かしく思える。

何故だろう、そんなことを思いながら、眠気を感じて。

ゆっくりと、目を閉じた。
暑いほどの日差しは、とても心地よくて。
そして、穏やかな眠りに落ちた。]

(1703) 2011/01/19(Wed) 23:51:03

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