[言葉には出来なかったけれど、最期触れた先の“2”つに。
――……生きてと。
それは白銀だけの想いでなく、
灰銀をずっと照らし続けていた光もそうであろう。
銀に、同胞の赤い実を齧り苦悶の表情を見せる灰銀に、
心配の言葉を向けなかったのは
―――……グラォと呼ぶを許せと問われたから。
だから、彼女を心配するをリヒトに任せた。
だから、喰われなかった己という存在が少し揺らぐ。
けれど、―――……アーベルに謂う様に、
リヒトを羨ましいとは謂えない。
グラォ、その呼び名に込められた意味合いを、少し判るから。]