……って、あんた、とんでもねぇ事さらっと言ってねーか……?
「深刻にジメジメというのは、私の趣味に合わぬ。
……そのような事よりも、さて、どうする、葛木の者」
どうする……って?
「無論、力の事だが。
まあ、何れにしろ、やってもらわねばならぬのだから……」
[どこまでもさらりと言いつつ、男はこちらの右手を手に取り、何か、印でも刻むように手の甲に指先を走らせる。
緋色の煌めきが一瞬散り]
……え……?
[ずっと纏わりついていた、引きつったような感覚が緩むのが感じられた。
それと共に、何か、自分の奥へと向けて響くような感触。
ずっと忘れていた何かが動くような]