これ……って?
「私の世話焼きはこれまで。
後は現世に生き、血と力と想いを繋げ行くものたちが道を描けば良い。
……ではな」
[困惑した声に答えはなく、男は手を離してゆっくりと丘を降りて行き──やがて、その姿はふっと消え失せた]
……消えた?
何だったんだよ、今の……。
[呆然とした呟きに答えはなく。
ただ、桜が風に揺れるのにあわせて、声が聞こえたような気がした]
……っ!
[とっさに振り返り、桜の幹に手を触れる。
伝わる感触は先ほどと変わらず。
ただ、それと共に、さっきは感じられなかった何か、がぼんやりと感じられた]