[ライ兄のしたいことを、最後までして欲しいと望んで。
その通りにしてくれたはず、してもらったはず、だけど。
結局、初めて知った感覚や痛みを受け止めるのに精一杯で、それがなんなのかはよく解らないままで。
覚えているのは、幼い自分の手を引くように、答えを導かせるように囁かれた声と手の温もり。
優しくあやすような表情。
それに対して自分が返せたものは何も無くて。
肌を曝すのが恥ずかしくて躊躇ったり、変な声をあげてしまったり。
無意識に、何度もイヤだと言ってしまったり。
その都度、やめるか?と優しく問うてくれたのに、それも嫌がった。
思い返せば返すほど、我が儘を言ってしまったと後悔ばかりが胸を埋めていって。
ごめんね、と小さく呟いた声は、彼に届いただろうか。
我が儘な自分を、嫌いにならないで、とは言えなかった。
せめて、何か。ライ兄の中で満たされたものがあれば良いのにと、そう思った。]