―金の映す世界―
[自らの器に対して何の感慨も抱かない。
死せば其れで終わりなのだと思っていた。
同胞の糧になれるなど思いもしなかった。
金は自らの躯から同胞>>1323と幼馴染へと移ろう]
――…味わう暇なんて無かったな。
……嗚呼、甘さは、感じた、けど。
[其れはアーベルの血の甘さか彼自身の甘さか。
そのどちらもかもしれないと思えば困ったように伏せられる眸。
幼馴染の血を啜る同胞にぱたりと漆黒の尾を振った]
『其れは俺の獲物だ、が――…
相棒のグラォと子の為になら分けてやるよ』
[幼馴染への執着は隠さぬのは彼女には知れていただろうから。
最後まで届きそうで届かなかった幼馴染二人、
得られそうで得られなかった存在に漆黒は小さく鳴いた**]