[檻に体当たりする妖狐。
しかしさすがに檻用強化ガラス、体当たり程度では壊せない]
嫌そう、っすね。もしかして、前にも捕まったこと、あるっすか?
心配しなくても、けふっ、あたしは超やさしーっすよ?
[言葉で畳み掛けようとするのは、体が弱っている事の裏返しか。
口調には時折、乾いた咳が混じる。頭突きを喰らった胃と肺が、震えてダメージを訴えていた。
その瞳が、妖狐の口の火球を捉え――一瞬、力ない笑みが漏れる]
はっ……体以外にも武器があったっすか。
[しかし、すぐに表情を引き締めたのは少女の矜持]
いいっす……受けて立つっすよ。
[檻のガラスを一度溶かして、自身の眼前に一点集中。
少女の作りうる最高強度のガラスで、火球を受け止めんとする。
ふらり、倒れ掛けた体を両脚で支え直すようにして]