―――――人間界、とある街の外―――――
げ、入れねぇ。
[うっすらと白く染まった地面の上、門の前まで来た赤髪の少年は思わず呻いた。
ここまでの力は探らなくても分かる。人や物のの出入りを遮断する封鎖の術、しかも純粋な氷破の強い力。こんなのが使える者はそうそういない。
頬を掻きながら少年は困ったように街の中を見た。中に居るはずの人物を思い浮かべながら。
少年の正体はラスと呼ばれる影輝の精霊だった。とある精霊の動向を確認する使命を別の精霊から受けている。
とはいえ対象者には旅の連れという存在があるわけで。しかも邪魔するのは気が引けるような存在が。
だからこそある程度距離を置いてたまに確認するという形できたのだが。今回は場所を確かめている最中、目標としてきた品物の気配がプッツリ途切れたのだ]
でもこれってことは二人とも中にいるのか?
[入るに入れず、出るに出られず。
集った人間達が不安を覚えて騒ぎが大きくなっていく中、どうしたものかと頭を抱えていた]