―紅が映す世界―[生前、直に蒼を見上げると色素の薄い眼は焼けて、暫く大変な思いをした。実体ない今、陽光は唯身体を突き抜けて行くだけにも関わらず、尚呼ばれた先を見る紅は密やかに濡れたように濃く光を反射する。]『―――……そうだね。』[困ったように、それでも微笑むように、揺れる漆黒の尻尾を見る紅は細まる。―――……まるで光(リヒト)を眩しがるように。]『うん、そうだよね。』[言い聞かすように、再度紡ぐ言の葉は、けれど嘘の苦手な男が織るが故、果たしてどこまで信じて貰えただろうか。]