[それが“嫉妬”という名の感情であると、識らぬままであるのは、
陽の光のようにこの身を焼かぬ光(リヒト)が好きであったから。
大切なのは、こちらも同じこと。
でも、だからこそ、ただ一人、喰われぬまま在るココロが痛む。]
『あれ、陽に眼、焼かれちゃったかな。』
[細めた紅の眦から、つっと一筋、伝う雫。
くしっと拭う仕草は幼い。
おそらく、去来する感情の名は―――淋しい。
それでも、その感情の名を幼い子のように表現できぬまま
ただ困ったように微笑んだ。
多分誰よりも、本当は淋しがり屋の白銀を知っている灰銀が、
その淋しさまでも喰らってくれるとは……―――まだ、識らずに*]