―――…あ、其の前に
[帰り道、ふと脚を止めた。湖畔の道へ少し戻ると、
ミハエルの屋敷―――別荘へと足を運んだ。]
…あの、御墓お参りしても構いませんか?
[迎え出た執事らしき人に要件を話せば通して貰えるだろうか。案内された場所、庭に当たる彼の墓には幾多の花が添えられていた。日当たりのいいその場所は寂しさの一つも感じられない。]
ライヒ君…君は本当に色んな人に想われているのだね
ミハエル君や、修道院の子供達にも
[村の墓地、名前だけの墓標前にも子供達の手らしき花や、
彼を模った似顔絵、有難うの言葉で綴られたカードで溢れていたのだから。]
結局わたしは君のこと、解らないままだったな
識る機会があっても理解できたか如何かまでは自信ないけど
…何時ぞやの花のお礼、出来なかったな…やっぱり君だよね?