[無表情で...を見たロザリーはやはり寂しげだった。
そう、それは自分の半身を失った双子や、羽を失くしてしまった人々のように――]
(ああ、そうか……)
[そこで...はようやく理解した。
結局彼女も同じなのだ。
オーフェンには幼い頃の自分を重ねて嫌悪してしまったのと同じように、ロザリーには己が辿らなかった道の先で、自分にはわからない感情の奔流を必死に受け止めているのだろう]
(ロザリーはもう一人の私なんだ……)
[幼い頃、強引に連れ出された祖母の配達に付き合わされて訪れたお屋敷。そこに居たロザリーに惹かれたのは、そんな選ばなかった道の先に立つ事が出来た羨望だった。
だが今はその道は過ちだった事を知っている。
それは結界樹の外で再開した恋人達や、仲間達と談笑しているみんなの笑顔を見ればわかる]
だから、私はここにいるんだ――。
[浮かべた笑顔は、満面と比喩するだけではなくて、本当に心から相手を慈しむ慈愛を称えていた]