[結界外周。一つだけ残しておいた結界の要石を掘り起こしつつ思い出されるのは、去り際のブリジットの言葉に含まれた嫌悪の色。その理由は何となく知れて。ああ、それは何時誰に言われた言葉だったか。]
世界を軽んじてる? ふふふ、まさか。
世界が『見えて』しもうているさかいに、世界を『終わらす』しか手がないこと、悟ってもうてるっちゅうのに。
ああ、うちは狂っとるんやろうね。そこを否定する気はあらへん。
せやけど、こんな眼ぇ持って狂わん方がおかしいっちゅう話やわ。
世界は生きとるように見えて、もう虫の息や。色々おかしうなってもうとるんが、何よりの証拠。どっちみち迎える終焉やったら、やり直しがより早う利く方がええに決まっとるいうんに。
っと、ああ。そろそろやばい、か。
[そう言って、掘り起こした装置を抱えると木の陰に座り込む。
その顔には脂汗がびっしり。]